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技術コラム

棚やラックのコーナー部分を切断して溶接していませんか?

什器や棚、ラックのフレームには、必ずと言っていいほど角度切りの部材が使われます。その角度をどう作るかと聞かれたとき、多くの方は「部材を切断して、溶接でつなぐ」と答えられるのではないでしょうか。実際、国内の什器・棚ではこの方式が主流です。ただ、角度のつけ方は一つではなく、最近は製品や数量に応じて工法を使い分けるのが業界のトレンドになりつつあります。今回は、什器・棚のフレームに角度をつける三つの工法と、見落とされがちな「切り欠き」という選択肢について解説していきます。

棚やラックのコーナー部分は、切断して溶接するのが国内の主流

什器や棚の角度部は、大きく次の三通りの作り方があります。

  1. ベンダーでパイプを曲げて角度をつける
    曲げ機に材料をセットし、金型で曲げる方法です。材料を切らずに成形するため、部品点数が少なく、接合部そのものがありません。量産品でよく見られる作り方です。
  2. 切り欠きを入れて折り曲げ、合わせ目を溶接する
    あらかじめレーザーで切り欠き(切り込み)を入れておき、その線に沿って折り曲げて突き合わせ、合わせ目だけを溶接する方法です。曲げ機を通す必要はありません。
  3. 二つの部品を切断し、溶接でつなぐ
    国内の什器・棚で最も一般的な方法です。接合部が45度できれいに出るため仕上がりの見栄えがよく、品質が高く見えるという評価につながっています。

国内で3が選ばれてきたのは、見た目のクオリティを重視するためです。その判断自体は理にかなっていますが、どの製品でも3が最適とは限りません。

ベンダーで曲げる方法が選ばれないのは、見栄えとコストに理由がある

ここでいう曲げとは、ベンダー(曲げ機)に材料を通して成形する加工を指します。では、なぜ国内ではこのベンダー曲げが主流にならないのでしょうか。現場で聞かれる理由は、主に次の三つです。

  1. 中央がへこんで見え、安っぽい印象になる
    パイプを曲げると、曲げ部の中央がわずかに落ち込んで見えることがあります。寸法上は問題がなくても、什器や棚のように人目に触れる製品では採用を見送る要因になります。
  2. 角パイプはきれいに曲げられない
    板材と違い、角パイプは曲げ加工に向いていません。断面がつぶれたり、角部に歪みが出たりするため、角パイプを使うフレーム構造では、そもそもベンダー曲げという選択肢が取りづらくなります。
  3. ベンダー加工は単価が高い
    意外に思われるかもしれませんが、ベンダーによる曲げ加工は、数ある加工方法の中でも単価が高い部類に入ります。金型と、ベンダーが必要なためです。見た目がシンプルだからといって、安く仕上がるとは限りません。

またコスト的に採算が取れないので、厚い材料で角度をつけたい場合は、曲げ以外の方法を前提に設計を進めることになります。

切り欠きを入れておけば、ベンダーを使わずに角度がつく

同じ「曲げる」でも、切り欠きを入れておく場合はコストの位置づけが変わります。レーザーで切り込みを入れてあれば、その線に沿って軽い力で折り曲げられるため、曲げ機に通す工程そのものが不要になるからです。

三つの工法を、かかるコストの安い順に並べ替えると、意外な順番になります。

  1. 最も安い:切り欠きを入れて折り曲げる(ベンダー不要)
    切断と同時に切り欠きを入れておけば、折り曲げて突き合わせるだけで角度が決まります。溶接するのは合わせ目だけなので、工数を最も抑えられます。
  2. 中間:二つの部品を切断して突き合わせ、溶接する
    国内で主流の方法です。仕上がりはきれいですが、角度を測りながらの位置決めや仮付け、溶接後の歪み取りといった工数が積み上がります。
  3. 最も高い:ベンダーで曲げる
    工程としてはシンプルに見えますが、金型と機械の単価がかかるため、三つの中で最も高くなります。前述の見え方の問題や金型の有り無しも加わります。

「角度をつけるのだから溶接で」と工法を先に決めてしまうと、本来もっと工数を抑えられたはずの形状まで、従来どおりの手順で作ることになります。設計の初期段階で、この三つを並べて比較しているかどうかが分かれ目です。

切り欠きを入れておけば、位置決めと溶接の工数を減らすことができる

切り欠きは、3次元レーザー加工と組み合わせることで効果が大きくなります。切断と同時に、折り曲げるための切り込みまで一括で加工できるためです。現場では、次のような違いが生まれます。

  1. 角度が決まるので、測りながらの仮付けが不要になる
    折り曲げて突き合わせれば角度が出るため、位置決めの作業がなくなります。溶接治具の簡素化にもつながります。
  2. 溶接範囲が短くなり、歪み取りまで軽くなる
    合わせ目だけを溶接すればよく、隙間を埋める盛り溶接も減ります。作業時間に加えて、溶接後の歪み取りやグラインダー仕上げの工数も抑えられます。
  3. 薄板ほどきれいに折り曲げられる
    厚みの目安は前述のとおりです。厚物や角パイプの場合は、別部品を溶接する方法と比較しながらご提案します。

なお、当社で行うのは切断・切り欠き・穴あけまでで、折り曲げの工程はお客様側で行っていただく形になります。レーザー加工の段階で折り曲げやすい形状を作り込んでおくことが、後工程を軽くするポイントです。

まとめ:工法を決める前に、三つを並べて比べてください

什器・棚のフレームに角度をつける方法には、「切り欠いて折り曲げ、寄せて溶接する」「二つの部品を切断して溶接する」「ベンダーで曲げる」という三つの選択肢があり、コストは基本的にこの順に上がっていきます。国内で二つ目が主流なのは見た目のクオリティを重視してきたためで、その判断自体は正しいものです。

ただし、すべての製品で同じ工法が最適とは限りません。もし「角度をつけるのだから切断して溶接するしかない」と前提を置いたまま設計を進めているなら、一度その前提を外して比較してみる価値があります。

当社では、3次元レーザー加工により、切断から切り欠き・穴あけまでを一括で加工し、お客様の製品に合わせて最適な工法をご提案しています。図面が固まる前の形状のご相談はもちろん、同じ部材を三つの工法で試作し、見比べていただくことも可能です。手書きのポンチ絵の段階からご相談を承っておりますので、ぜひ一度お問い合わせください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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